RPAツールの導入には業務効率化やコスト削減等のメリットもありますが、同様にデメリットも存在します。

成功例が目立つRPAツールの導入ですが、場合によっては、利益どころか不利益に結びついてしまうかもしれません。

今回はRPAツール導入のメリットとデメリットについて解説していきます。デメリットに関しては、対策も提示していきますので、参考にして頂ければ幸いです。

RPAとは

RPAってそもそも何?という方へ簡単に説明していきます。

RPAとはRobotics(ロボットが) Processing(処理する) Automation(自動的に)の略で主にPC上で行われる作業の自動化を実現するソフトウェアのことを指します。

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RPAツール導入のメリットについて

RPAツールを導入するメリットとして、以下の5つが期待できるでしょう。順にみていきましょう。

1.業務の効率化を期待できる

RPAツール導入の最大のメリットは、これまで人が行ってきた定型業務をロボットに代行してもらうことで、業務の効率化を図れることではないでしょうか。

例えば、仙台市では9つの課の15業務に対してRPA実証実験を行っており、合計1809時間の作業時間削減を達成しています。

この事例からRPAツールは使い方次第で、一部の業務や一つの部署にとどまらず、企業・自治体全体での業務効率化も図れると言えるでしょう。

参考資料:仙台市における RPA & AI 利活用の 取組について

2.人件費及び作業時間の削減

前述のとおり、これまで人が行っていた定型作業をRPAツールによって自動化することにより、その業務に対する人件費の削減が可能です。

また、処理速度も人と比べ、格段に早い場合が多く、作業時間の削減が見込めるでしょう。

3.ヒューマンエラーの防止

人間の手で行われる作業で避けられないのが、人為的なミスです。

一方、ロボットは作成されたシナリオに沿って忠実に作業を行うため、正確な作業実行を期待できます。

また、同時にミスを修正することで発生する時間的なロスなどの削減も期待できるでしょう。

4.ノンプログラミングによる自動化

多くのRPAツールでは基本的にプログラミングスキルを必要としません。

ツール画面上で、用意されているコマンドを組み合わせてシナリオの作成するため、直感的な操作で業務の自動化を行えます。

また、現場の人間自身で業務を自動化した場合、業務フローの変更やエラーがあった時にその場ですぐに修正ができることもメリットの一つといえるでしょう。

5.生産性の向上

定型業務をロボットに置き換えることにより、それまでのその作業に割いていた時間を他のことに当てることが可能になります。

よりクリエイティブな業務へ集中、残業時間の削減など、生産性の向上や労働環境の改善などが期待できるでしょう。

RPAツール導入のデメリットとその対策について

ここまで、メリットについて見てきましたが、当然、RPA導入にはデメリットもあります。

事前にデメリットについて知り、対策を講じることで、導入失敗のリスクを抑えることができるでしょう。

1.費用対効果が高いとは限らない

RPAを導入・運用していくことは、それ相応のコストが発生します。

費用面から考えると、多くのRPAツールは初期費用やライセンス料等で最低でも年間数十万円以上必要であり、決して安いものではないでしょう。

また、ツールの選定や自動化する業務の精査、ロボット作成やメンテナンスなどで発生する人件費も考慮する必要があります。

そのため、自動化対象の業務によっては費用対効果が見込めない場合もあります。

対策

RPAを導入する前に定量的な効果を見積もっておくことをお勧めします。

具体的には、1件あたりの処理時間と処理件数をかけて人件費換算することで、定量的効果を表すことができるでしょう。

2.エラーや誤作動の発生

ロボットはあらかじめ組まれたシナリオに沿って作業を行うため、使用するシステム環境や記入箇所の変更は誤作動やエラーの発生に繋がります。

また、それに伴った原因究明や修正対応などにより、業務に支障が出る可能性もあります。

対策

事前に停止した際の業務フローの作成や日々のメンテナンス等を行うことで停止や誤作動のリスク軽減が期待できます。

また、ロボットを作成する際にフローチャートなどで処理を可視化できれば、修正対応が楽になり、同時に後述する作業のブラックボックス化の対策にもなるでしょう。

3.セキュリティ面の懸念

ロボットに自動化させる業務は、様々なアプリケーションを連携させることが多い傾向があります。

IDやパスワードの入力を要求されることがありますが、ログインしたユーザーの権限によっては不正なことも可能となるため注意が必要です。

例えば、RPAの担当者がロボットの実行を介して、操作権限のない社内システムを操作・閲覧できてしまったり、本来であれば知りえないIDやパスワードの情報を知ってしまう場合があるでしょう。

対策

一つ目はIDとパスワードをRPAツールやロボットごとに作成することが挙げられます。そうすることで、ロボットやツール毎に権限を明確にしておくことができるでしょう。

もう1つは自動化する範囲を部署や権限で区切ることです。自動化作業を他部署や権限のない人に見られないで済むでしょう。

4.ロボットのブラックボックス化

RPAツールに業務を自動化させた後、ロボットの管理が属人化してしまうとロボットのブラックボックス化が懸念されるでしょう。

RPAの導入に携わった担当者が異動・退職した後、新担当者が稼働中のロボットに対して、どのような業務に使用されているか、どんな手順で作業を実行しているのかなどを知らないと適切に対応できない恐れがあります。

また、ブラックボックス化したロボットがうまく動作しない場合、原因究明・復旧作業等に時間が掛かると、業務停止に追い込まれるかもしれません。

対策

RPAが自動化する業務のブラックボックス化を防ぐには、導入当初の担当者から新しい担当者への引き継ぎが適切に行われるよう、業務フローや運用方法を可視化できる資料としてしっかり残しておくことをお勧めします。

また、作成した資料の内容に変更があった際にはすぐに更新し、最新の状態を保ちましょう。資料の保存先も忘れずに共有しましょう。

まとめ

今回はRPAのメリット・デメリットについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。

RPAツールは決して安い買い物ではないため、メリット・デメリットについて知り、検討をした上でのRPA導入をお勧めします。