リサーチ・コンサルティング企業のMM総研が行なった「RPA国内利用動向調査2020」によると、大手企業におけるRPAの導入率は51%。
RPAはパソコン上の操作全般を自動化できるツールで、残業対策にもなると期待されている業務効率化の手法です。
中小企業におけるRPAの導入率は25%と決して高いとは言えない数値ですが、2020年4月から中小企業にも適用された時間外労働規制などを受け、業務効率化の解決策を模索している企業も多いのではないでしょうか。
本記事では働き方改革の対策方法や、RPAツールの導入を検討している企業に向け「RPAツールで自動化できる業務の代表例」をご紹介します。
▼RPAのツールについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
RPAの導入前に:対象業務を洗い出そう
RPAは適切に運用すると月に数十時間〜数百時間単位の業務負担削減を期待できるものの、開発と運用形態を整えるまでには時間がかかります。
また、社内にエンジニアやIT関連の知識が豊富な担当者がいない場合、新たに開発・運用に必要な人材を確保する必要もあるでしょう。
他の社内システムと同じくRPAも導入には時間とコストがかかるため、導入を検討する際は自動化の対象となる業務をよく選別する必要があります。
自動化する業務を選ぶときは、現行の業務がどれだけRPA化に適しているかを基準にするのも良いでしょう。
RPA化しやすい業務の基準
- 業務内容を定型化できること
- 定期的に発生する業務であること
- 大量のデータ処理が発生していること
- パソコンだけで作業が完了すること
- 扱うデータがデジタル化されているもの
RPA化しやすい業務には、上記5点の特徴が挙げられます。RPAの導入を検討する際は、これら要素を満たす業務を選び、開発に向けた優先順位をつけていく必要があります。
業務内容を定型化できること
上記の中でもっとも重要な要素は、1番目の「業務内容を定型化できること」。
RPAはデータの収集や入力など定型的な作業が得意な一方、時と場合に応じた判断が求められる作業や、変則的な作業は自動化しにくいというデメリットがあります。
そのため、業務フローがあらかじめパターン化されている業務を自動化の対象に選ぶと良いでしょう。
例えば「⒈ 従業員の労働時間をエクセルにまとめる、⒉ まとめたデータを労務システムにアップロードする、⒊ システム内で残業代を計算する、⒋ 給与明細を発行する」など、業務全体が定型的な作業で構成されているものは高い費用対効果を狙えます。
定期的に発生する業務であること
自動化する業務を選ぶ際に重視したいもう一つのポイントは、業務が定期的に発生するか否か。
定期的に発生する業務の例としては、日々の売上計上や、毎週のレポート作成、毎月の賃金計算・請求書管理などが挙げられます。
自社の場合はどのような業務が繰り返し発生しているか、またその業務にかける時間量はどの程度なのか。業務のボリュームを洗い出し、大幅な負担削減を期待できる業務を自動化対象にしましょう。
大量のデータ処理が発生していること
単純な業務であっても、扱うデータが多ければ多いほど手間はかかります。
例えば大量の顧客リストを収集したり、メールを数百件~数千件単位で一斉送信する業務が発生している場合、1回の業務を自動化するだけでも大幅な負担軽減に期待できるでしょう。
パソコンだけで作業が完了すること
RPAは、パソコン上で行われる作業のみを自動化するロボットです。
エクセルとGoogleChromeを使う作業や、複数のクラウドサービスをまたいだ作業などは完全に自動化できる一方、プロセスの途中で手作業が発生すると自動化が行き詰まってしまいます。
手書きデータの書き写しや押印作業など人の手が必要な作業が含まれる業務より、終始パソコン上で行われる業務を自動化対象にすると良いでしょう。
扱うデータがデジタル化されているもの
前項でご紹介したように、基本的にRPAはパソコンを使った作業の自動化のみに対応したツールのため、印刷物などデジタル化されていないデータの処理は難しいという側面もあります。
例えば、手書きで作成されたデータを取り込み、PC上のシステムに入力するという業務。
このようなデータの読み取り業務に対応するには、RPAと「OCR(光学的文字認識)」と呼ばれるデータ読み取り技術を組み合わせる必要があるため、RPAのみを導入する場合よりコストが割高になるでしょう。
また、OCRによるデータ読み取り技術は日本語を読みとる精度が低いと言われており、期待通りの効果を発揮しない場合もあります。
RPAで自動化する業務を選ぶときは、業務で扱うデータがデジタル化されているか否かにも注意しましょう。
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部門別・RPAで削減できる業務例を紹介
この項目では、RPAを使って自動化しやすい業務を部門別にご紹介します。
経理部門
- 入金・支払い業務
- 経費精算業務
- 電子データ化された支払い伝票の読み込み
- 請求書や支払い明細の発行、メール送付
- 経理ソフトやクラウドサービス内での操作
経費精算や請求書・明細の発行などデータを扱った業務が多い経理部門は、RPAの導入により大幅な業務時間の削減を見込める部門です。
なお、経理部門で「弥生会計オンライン」「freee(フリー)」「マネーフォワード」などのクラウドサービスを利用している場合、これらのサービス内で行う操作も自動化が可能です。クラウドサービスとRPAを組み合わせることにより、さらなる業務時間の短縮を狙えるでしょう。
人事部門
- 採用活動や入社前準備
- 評価実施の案内、管理、結果反映
- 社宅管理、慶弔・災害処理
採用者の面接・既存社員の面談など、対人コミュニケーションをともなう業務はRPAが代理できません。しかし採用決定者のデータ管理、評価の案内送付、社宅管理といった事務作業はRPAで自動化しやすい部類に入ります。
特に抱える社員の数が多い中規模〜大企業では、RPAを導入することで大幅な事務作業の削減を見込めるでしょう。
労務部門
- 住所変更、社会保険、入社・退職手続き
- 勤怠管理
- 給与計算
- 残業管理
- 派遣社員の契約更新作業
- 労務管理システム内での操作
労務の仕事には給与計算・明細の発行や、住所変更手続きに必要な書類作成、残業管理や契約更新手続きなどが含まれます。
定型作業が多い上、従業員データもデジタル化しやすいため、RPAとの相性は良いと言えるでしょう。
RPAはパソコンのクラウドサービスや労務ソフト上でも作動できるため、近年利用が進んでいる労務クラウドサービス「SmartHR」「jinjer労務」などと組み合わせて使うことも可能です。
営業部門
- 顧客データ管理
- 営業レポートの作成
- 見積書や請求書の作成
- 営業メールの送信
- メールリスト、電話リストの管理
営業職の場合、メールリストや電話リストの管理、営業メールの一斉送信、見積書・請求書の作成などの場面でRPAを活用できるでしょう。
事務作業の負担を削減することにより、電話や対面での営業活動・交渉などに時間を割く余裕が生まれます。
調達・購買部門
- 受発注業務
- メール発注業務
- 在庫管理システム内での操作
- 仕入れ価格のチェック
調達・購買部門は、外部から物を買い付ける部署です。製造業であれば、自社の商品を製造する際に使う部品類の価格を吟味し、調達することが調達・購買の業務にあたります。
調達・購買部門の場合、受発注の管理・メールでの発注依頼など、データ管理や事務作業の場面でRPAを導入できそうです。
マーケティング部門
- アクセス解析レポート作成
- メールマーケティングレポート作成
- 販売状況の調査
商品開発や、自社製品のPR、売り上げを改善するための戦略立案など、マーケティング部門の業務は多岐に渡ります。企業によって、市場や消費者動向の調査といったリサーチ業務が含まれる場合もあります。
商品開発や戦略立案など創造性が必要な業務はRPAで置き換えができませんが、データの集計・収集や、PRの結果をまとめたレポート作成など、データや資料の作成業務とRPAは相性が良いと言えます。
サポート部門
- 問い合わせ件数の集計
- 複数のシステムと連携し、顧客情報を抽出
- 顧客ごとのやりとり内容のまとめ
- チャットボットとの連携
サポート部門は、製品やサービスについての問い合わせ対応を行う部署です。
問い合わせ対応のほか、サポート部門の業務にはヘルプページ作成、問い合わせ内容の分析、レポート作成などの仕事が含まれる場合もあります。
特にメールやチャットの問い合わせ分析の場合、データがデジタル化されているため、業務を自動化しやすいでしょう。
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RPAの導入で時代に即した企業運営を
2020年現在、大企業で51%・中小企業で25%の導入率を誇るRPA。
中小企業でも導入が進んでいるものの、事例数が少ないために導入をためらっている中小企業の経営者様も多いのではないでしょうか。
とはいえ、2020年4月から中小企業にも時間外労働規制が適用されるなど、働き方改革の対応に追いついていない企業はますます事業を維持・拡大しづらい時代を迎えているのも事実です。
業務負担の削減に取り組むのであれば、今は絶好のタイミングと言えるでしょう。
企業にも時代にあわせた変化が求められる今、RPAなどITツールも取り入れた企業経営を行うことが期待されます。
なお、弊社が紹介するRPAツール・EzRobotは月額5万円・初期費用無料。中小企業や、税理士・会計士など士業様を中心にご利用いただいているツールです。
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<参考>